京のお正月 京都ならではのお正月の過ごし方 女性用帯 男性用麦わら帽子 うちわ 男性用帯 男性用草履 男性用浴衣 女性用浴衣 女性用下駄 鱧料理

京都のお盆の過ごし方

京の町には、古くから『五山の送り火』という夏の夜空を茜色に焦がす
京都ならではの伝統行事がある。
本来の目的はお盆に帰ってこられたご先祖様を無事にあの世へお送りするという
宗教的背景を大いにふくんだ立派な京都の祭事なのだが
その一方で、世の美男美女たちが
鴨川の橋の上、ビアガーデンでビールを飲みながら、川床で京料理をつつきながら、
肩を寄せ合い、お互いの不変の愛を確認しあう大切な日となっていることもまた、
事実なのである。
今宵もまた、そうした京の夜空に思いを馳せる男と女が・・・

京都のビアガーデン・ビアホールといえば・・・

テルオ「今日は暑いなぁ。日差しも強いし、麦わら帽子でもかぶりたいわぁ。

モモカ「ねー、でも晴れて良かったね。

男の名前はテルオ、京都在住の薬屋の御曹司だ。
テルオの隣、華やかな浴衣姿が目を引く綺麗な女性はモモカ。東京在住のOLである。
いわゆる遠距離恋愛というやつで、なかなか会うことが出来ない二人であったが
時間を調節して、この8月16日の五山の送り火に会う約束をしていた。

五山送り火の鑑賞スポット

出町三角州付近大文字
船岡山公園と建勲神社右の大文字・左の大文字・妙法・舟形
加茂街道沿いの
賀茂川堤防
賀茂川は西岸からは大文字が、東岸からは船形が見えるところが多い
御薗橋・上賀茂橋船形・大文字
高野川堤防妙法・大文字
嵐山渡月橋大文字・鳥居形
「金閣寺前」交差点左大文字
京都御苑大文字
カランコロン・・・
モモカの可愛らしい下駄が軽快な音を奏でる。

テルオ「浴衣も綺麗やと思ってたけど、下駄も帯もすごい可愛いなぁ。

モモカ「ありがとう。せっかくだから京都に着いた時に着物屋さんで買ったの。

テルオ「そうなんや、良く似合ってるなぁ。

モモカ「テルオさんの浴衣姿も素敵よ、帯も草履も良く似合ってる。

テルオ「そう?照れるなぁ。

という男女のささやきが町中から聞こえてくるが、この日ばかりは仕方がない。
それも含めて京の風物詩・・ということにしておこう。
テルオ「大文字の8時の点火までまだ時間あるし、ご飯食べに行こか。

テルオが見ようとしているのは、京都市左京区浄土寺・大文字山(如意ヶ嶽)である。
五山の送り火には、他に『妙』『法』『舟形万灯篭』『左大文字』『鳥居形松明』
とあるのだが、それぞれ点火時間が異なる。
遠目でよければ複数の山を見れるスポットもあるのだが近くで見るとなると話は別である。
今回テルオは『大文字』を近くで見ようと思っていた。

モモカ「うん、いいよ。何食べる?

テルオ「実はもうお店予約してんねん。京料理のお店なんやけど。

モモカ「京料理!?やったー、嬉しい。

テルオの言葉にモモカはとても喜んだ。
二人が向かったのはとても京都らしい風情のある料亭だった。
出てきた料理は、鱧落としや鮎の塩焼きなど普段モモカがあまり口にしないものばかりだった。

モモカ「んー、美味しい!京都に来たって感じがするわ。

テルオ「そっかそっかー、喜んでもらえて良かった。

そう言ってテルオは優しく微笑んだ。
料理もあらかた食べ終え、ほど良い時間になった二人は料亭を後にした。

テルオ「ホンマあっついなぁ。

そういうとテルオは腰にさしていた団扇をとると自らの顔をあおぎだした。
と、次の瞬間・・・


バチン!!


モモカの強烈な平手打ちがテルオの左頬に炸裂した!

テルオ「いたーーー!!どうしたん、急に!!?

するとモモカは手のひらを見せながら呟いた。

モモカ「・・・・・蚊。

それを聞いて放心状態のテルオであったが、ふと我にかえり

テルオ「いやーー、いやいや!それは無いわぁ!!めっちゃ痛かったし!!
テルオ「そういう時はこれを使うんや!

と、とりだしたのは虫よけスプレー。テルオの男のたしなみ七つ道具が1つである。
テルオはそれを自分とモモカに吹きかけた。

テルオ「これで良し!あー、災難やった。さ、行こか。

モモカ「ごめんねー。うん、行こ行こ。

二人は再び仲良く歩き出した。

虫よけスプレーも買える京都の薬局をご紹介

京阪出町柳駅を下り、鴨川沿いを歩いてとある橋までやってきた。

テルオ「着いたで、ここ良く大文字が見えるねん。

モモカ「へぇ、楽しみ。

しばらくすると、少しずつ大の文字に明かりが灯り始めた。
多くの見物客から歓声がもれる。そんな中、後ろの方から

うわー!『大文字焼き』きれいやなー。

と、言う声を耳にした。するとモモカに小声で

テルオ「ええか、京都人は『大文字焼き』なんて言わへんからな。

テルオ「言う時は『五山の送り火』とか『大文字さん』とか・・

モモカ「そうなの?なんで?

テルオ「そんなもん、『大文字焼き』やなんて磯辺焼きや今川焼きみたいやがな。

モモカ「みたいだったらダメなの?

テルオ「アホか!ダメに決まっとるやろ!!

その時・・・

テルオ・モモカ「あ・・・

気が付くと大の字は隅々まで火が灯り、とても綺麗な姿を現していた。

テルオ「今年の夏も、もう終わりやなぁ。

テルオはしみじみと言った。

モモカ「・・・来年もまた一緒に『大文字さん』見よね。
モモカの右手には可愛らしい扇子、
左手はしっかりとテルオの右手を掴んでいた。






夏の終わりの地蔵盆

とある老舗レストランの屋上のビアガーデン・・・。
盆も過ぎ3人の男たちが過ぎ行く夏を名残惜しんでいた。
いっちゃん 「宇治川の花火も送り火も終わったし夏もそろそろ終わりやなぁ。

宇治川花火大会

2014年8月11日19:45~20:45(予定)京都府宇治市宇治 宇治公園 宇治川畔一帯 山城総合運動公園(太陽が丘)

テルオ 「そーいや子供の頃は夏休みの最後のイベントとしてお地蔵さん楽しみにしとったなぁ※1

※1 お地蔵さん

地蔵盆のことで地蔵菩薩の縁日である8月23日24日に行われるが準備する大人の都合上近辺の土曜日曜に行われることが多い。 京都が発祥で古くから近畿地方で行われてきた。

康サン 「懐かしいなぁ、数珠まわししたりお菓子の時間とかスイカ割りとかの時間になったら知らせるために鐘叩いて町内を回ったりね。※2

※2 数珠まわし

お坊さんの読経中直径2~3m数珠を囲んですわり子供たちが輪になって回します。

いっちゃん 「町内の子供ら皆で地蔵さんのテントの中でトランプやったり、人生ゲームやったり。※3

テルオ 「夜になったら金魚すくいとかあったりしてなぁ、近所のちょっと上のお姉ちゃんにエエとこ見せるために張り切ったわ

康サン 「やっぱりそれか・・・(笑)

※3 子供が主役の地蔵盆

和菓子や花やくだものをお供えし、お地蔵さんに見守られながら子供たちはお菓子を食べたりゲームに興じます。

いっちゃん 「おもちゃやお菓子が景品をの子供の福引きの他に日用品メインの大人の福引きもあったな。

京都のおもちゃ屋さんをご紹介

テルオ 「おお!あったなあ畚降ろし。※4

いっちゃん 「いま思うと近所の子供も大人も一同に集まって町内の交流に役立ってたんやなぁ

テルオ 「そうそうイタズラしてよく近所のおっちゃんに怒られたわ

※4 畚降ろし

畚(ふご)とは、かごのことで景品をのせてを二階からロープで下ろします。

康サン 「そやけど昔は子供も多くて二日間やったけど最近は一日しかやらん町内多いみたい よ、子供がいなくてお坊さんに来てもらって読経してもらってお供え物分配して終わりみたいな・・・

テルオ 「そら寂しいな、伝統文化継承の為にも、少子化を食い止めやんと!
子供時代に華を咲かせほろ酔いで顔を赤らめながら男たちはレストランを後に夜の町に消えて行くのであった。