祇園祭 私スタイル 女性傘 女性小物 女性浴衣 女性下駄 男性帽子 男性小物 男性浴衣 男性下駄 京土産

平安時代前期の869(貞観11)年、京で疫病が流行した際、広大な庭園だった神泉苑(中京区)に、当時の国の数にちなんで66本の鉾を立て、祇園の神(スサノオノミコトら)を迎えて災厄が取り除かれるよう祈ったことが始まりとされる。

応仁の乱(1467-77年)で祭りは途絶えたが、1500(明応9)年に町衆の手で再興された。以後、中国やペルシャ、ベルギーなどからもたらされた タペストリーなどを各山鉾に飾るようになった。これらの懸装品の豪華さゆえに、山鉾は「動く美術館」とも呼ばれる。江戸時代にも火災に見舞われたが、町衆 の力によって祭りの伝統は現代まで守られている。

祇園祭の由来と歴史

 
『明日祇園祭に行こか。』『じゃあ、土下座前に14時待ち合わせで。』※1
そう言って輝男は電話を切った。
『いっつも突然なんやから・・・。』そういいながら古都音の顔はほころんでいた。
『明日、晴れたらええんやけど。』※2
※1 川端三条にある高山彦九郎像。京都では待ち合わせスポットとして有名。実は土下座ではなく、皇居望拝の姿。
※2 梅雨明け時期に重なるため14日~17日のどこかで一日は雨が降っている。(気がする)
祇園祭の私的デートコース
待ち合わせの時間から5分過ぎ輝男がようやくやって来た。
おまたせ。
おっ!ええやん、似合うね!!その浴衣。

川端三条から鴨川を渡り三条通りを西へ進んで行くとアーケードの商店街がある。
雑貨屋、和装小物、扇子屋など京都らしいお店が建ち並ぶ。
西に一筋目と二筋目を南に下がると別の商店街へと繋がっている。※3
ちょっとそこの服屋さん寄っていい?
古都音の目が輝きだした。
※3 京都の中心商店街。河原町商店街、三条名店街、新京極商店街、寺町商店街、四条繁栄会が連なる。映画館、ファッション、飲食店、土産物店が有り若者や修学旅行生などで賑わう。
小一時間程ショッピングを楽しんだところで
のど渇かへん?喫茶店行って一服しょうや。
と輝男が切り出した。
流行りのカフェでなく昔ながらの喫茶店のほうが落ち着くらしい。
二人は三条通りを西に歩き出した。
 
堺町を下がるとイノダコーヒー本店※4に到着。
三条店も近くにあるけど本店には庭もあってゆったりできるよなぁ。
ホットコーヒーを二つ。
注文するやいなや煙草に火を付ける輝男。
このあたりは路上喫煙禁止区域で携帯灰皿があっても煙草が吸えない、愛煙家には厳しい世の中になったものだ。※5
コーヒーが運ばれてきて古都音は驚く。
最初からミルクとお砂糖が入ってる!?
始めて来た人はみんな驚くみたいやで。
コクと酸味の程よいバランスと深い焙煎のコーヒーにはミルクと砂糖が入ったほうが美味しく飲めるそうで創業当時からずっと変らずらしいよ。
※4 京都の老舗の有名コーヒー店 著名人がお忍びでくることも。
※5 京都市路上喫煙等の喫煙禁止等に関する条例により喫煙禁止区域が定められている。
混まないうちに室町通りから南下。
黒主山、鯉山を見て蛸薬師通りを西へ西洞院を下がると蟷螂山が見える。
かまきりだぁ。
全山鉾の中で唯一のからくりの山なんやて。
四条通りを東へ。
郭巨山、月鉾、函谷鉾と続く。
辺りには店先で和装小物、浴衣、甚平、扇子等々を売る店がありまだ早い時間帯なのに結構な賑わいを見せ、露店も行列ができている。

お!ベビーカステラ。食べたい?
うん!食べたい!!アレめっちゃ好きやねん。
二人が並んで待っていると後ろで
トモちゃん、刺さった!?
女の子の声がした。
後ろに並んでたカップルの女の子が足を怪我したようだ。
心無い誰かが捨てた焼き鳥の串が刺さったらしい。
デートの万全を期すため輝男は簡易な救急セットを持っていた。※6
傷口消毒したほうがいいよ。
僕、消毒薬持ってるしやったげるわ 。
輝男と古都音は後列を先に行かし、道の脇に反れて手当てをした。
手当ても終わりベビーカステラの方に目を向けると先程の倍ぐらいの行列が出来ている。

混んできたし先に月鉾行って厄除けの粽買いに行こうか。
輝男と古都音は二人を後に月鉾へと向かう。
厄除けの粽買うと鉾に搭乗出来るで。
月鉾会館の二階から白木の渡り通路を渡って搭乗する。

鉾から降りると先程のカップルが居た。
男『先程は有難うございました。コレ御礼です。
そう言うとベビーカステラを差し出しもう一度礼を言って去って行った。
どうやら月鉾へ向かうのを聞いていてベビーカステラを買って待っててくれたらしい。
なんかチョット嬉しいね。
※6 下駄の鼻緒に当たる所が擦れて痛くなったり人混みに押され怪我することもあり、準備しておくと便利。
四条烏丸を超えると長刀鉾があり人気の鉾なのでかなり混雑しているので錦通りへ迂回。
東へ進むと京の台所として名高い錦市場商店街※7がある。
魚屋、かしわ屋、八百屋等々、生鮮食料品を取り扱うお店が夜店と大変身。
唐揚げに焼とり、はもの串焼き、サザエのつぼ焼きコロッケ串カツ、魚の商品棚をテーブル、ビールケースを椅子に臨時の居酒屋になってる魚屋さえあります。
美味し~い。
流石は専門店一味違います。
食べ歩きしながら歩いているとハプニングが...。
あっ!鼻緒が...。
直してあげるよ。
輝男は救急セットからガーゼを取り出し、鼻緒を結び直します。
これで一応歩けるけど...。そうや!
輝男はスマートフォンアプリ[おおきに京都]で下駄屋を検索。
現在地からの距離やお店情報や地図を調べられとても便利。
近くにあるな。よし、行こ!
輝男は古都音の手を引き新京極の履物店へ。
ええ記念や。下駄買うたるわ。
お気に入りの下駄も見つかり古都音はすっかりご満悦。
※7 京の台所として、有名。最近では観光客向けに食べ歩きできるような品を置く店も多い。
お!そろそろええ時間やな、ご飯食べに行こか。』
何処行くの?
やっぱり祇園祭と言えば鱧やろ。ちゃんと予約しといたで※8
※8 祇園祭りは別名鱧祭りと呼ばれる。生命力が強く交通が発達してなかった昔でも、生きたまま京都に運ぶことが出来、真夏に行われる祇園祭りに多く振る舞われたためこう呼ばれる。
割烹濱喜久に到着。※9
暖簾をくぐりカウンターに座ると、
祇園祭楽しかった?』とご主人が気さくに話しかけてくれます。
二人は今日の楽しかった出来事を振り返りながら美味しい鱧懐石とお酒に酔いしれるのであった。





※9 京都の食通たちがひそかに通う名店。割烹ならではの素材を活かした料理を提供 京町屋作りで隠れ家的な要素も備えたお店。